ICTはじめの一歩

保育のICT化とは?ぬくもりは?ICT化で「できること」と「注意点」を徹底解説!

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こんにちは!保育ICT推進協会の三好(@Happy_Hoiku)です。

近年保育の現場でもICTをいう言葉を多く耳にするようになりましたね。

保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドラインにも「ICTの活用」を挙げています。

厚生労働省:保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン

「パソコンでぬくもりがなくなる」という話もよく耳にしますが、ICTを導入してもぬくもりのある保育がなくなってしまうわけではありません

ポイントを抑えてICT化をすすめることで、今まで以上に保育の質の確保と向上ができるようになるでしょう。

この記事では、

  • 保育のICTって何?
  • 保育のICT化で何が変わるの?
  • 従来のぬくもりのある保育はなくなっちゃうの?
三好

そんな疑問にお答えします。

この記事を書いた人:三好冬馬
  • 保育士として担任業務をしながら多くの園のICT化に携わる
  • 数多くの失敗をしながらICT化プロジェクトをすすめる
  • ICT化に挑戦していく保育士の力になりたいと一般社団法人保育ICT推進協会を設立
  • 保育士向けのセミナーへの登壇や勉強会を開催

保育のICTとは

そもそも「ICT」とは、何の略がご存じでしょうか?

「ICT」とはInformation and Communication Technology(情報通信技術)」

日本語にすると、インターネットを利用した人と人・人と物をつなぐコミュニケーションを指します。

保育におけるICTとは「保育の業務をインターネットやパソコン・タブレットなどを使って効率化すること」を指します。

保育のICTとは

保育の業務インターネットやパソコン・タブレットなどを使って効率化すること

似た用語として「IoT」がありますが、「ICT」と「IoT]には以下のような違いがあります。

  • ICT:人とインターネットをつなぐことで、人と人をつなぐ技術
  • IoT:あらゆるモノがインターネットにつながる状態もしくは技術
三好

ICTは人と人をつなぐというのがポイントになっています。

厚生労働省は保育のICT化についてどうとらえている?

近年の女性就業率の増加に伴い保育の需要が高まった結果、保育士の有効求人倍率は依然として、平均に比べて高い水準で推移しています。

三好

現場の保育士が圧倒的に足りていません!

また、保育士の離職率も気になるところです。

業界別の新卒3年以内の離職率をみてみましょう。

  • 第1位 宿泊業、飲食サービス業:52.6%
  • 第2位 生活関連サービス業、娯楽業:46.2%
  • 第3位 教育、学習支援業:45.6%
  • 第4位 小売業:39.3%
  • 第5位 医療、福祉:38.4%
三好

保育は第5位の医療・福祉関係に当てはまります。他の業界と比べると意外と高くないと思われたかもしれません。しかし、10人中3〜4人が3年以内に辞めてしまうのはとても残念です。

ちなみに東京都が調べた「保育士が辞める理由」は以下のとおりです。

  • 職場の人間関係
  • 給料が安い
  • 仕事量が多い
  • 労働時間が長い
  • 妊娠
  • 出産
  • 結婚
  • 健康上の理由
  • 他業種への興味 など

出典:平成30年度東京都保育士実態調査

三好

人間関係や給料の不満の次に仕事量が多いことが挙げられています。確かに保育士の業務量はとても多いです。

そのため、厚生労働省はこうした状況を改善し、生涯働ける魅力ある職場づくりに力を入れ、ガイドラインも作成しました。

その中で業務改善の手法の目玉として挙げているのが、ICTの活用です。

業務の分担・ICTの活用・働き方の見直しを目指す

厚生労働省は、ガイドラインを策定前に実施した事前調査研究(令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究事業報告書)で、保育士の書類作成など、直接子どもと関わらない業務に過大な負荷がかかっているのが明らかになりました。

そこで、保育士が保育に注力できる環境を整えるために、計画や記録などの保育士の書類作成業務の見直しや、保育補助者との業務分担ICTの活用働き方の見直しなどの取り組みを推進しています。

ICTを活用して業務改善をする目的
  • 保育士の業務負担の軽減
  • 保育士が保育に注力できる環境を作る
  • 保育の質の確保・向上
三好

業務改善により、保育の質の確保・向上を目指したいですね。

ICTでできる5つのこと

保育のICT化でできることは書類の作成のみならず、多岐にわたっています。

三好

ICTを活用することで解決で多くの負担や課題を解決できます。

書類をパソコンで効率的に作成

今まで手書きで行ってきた書類作成をシステムで作成できるようになります。

  • 指導案
  • 日誌
  • 日案・週案・月案・年案
  • 児童票
  • 要録 など 

システムに入力されているデータが連携することで、同じ内容を2重に記入する必要がなくなり、過去の記録を参照しながら効率的に書類作成できます。

インターネットを使って職員間の情報共有

保育園では職員間の情報共有も大きな課題ではないでしょうか?

開園時間が長い園では朝だけの職員、夕方からの職員、午前中だけの職員などシフトで働く職員が多くいます。

働く形態も非常勤や正規職員、派遣職員などさまざまです。

また、保育中は同じ時間に全員集まって会議を行うのは難しい場合も多いでしょう。

このように保育の現場は、情報の共有が難しい状況にあります。

重要な引き継ぎ事項も口頭では、伝達漏れが起きてしまうこともあります。

ICT化すれば、システムによっては掲示板機能や申し送り機能があり、簡単かつ一瞬で全員に情報の伝達・共有が可能です。

具体的には以下のような内容を共有できます。

  • アレルギーなど園児に関する情報
  • ヒヤリハット
  • 感染症の流行
  • 会議の議事録
  • 行事の予定・変更
  • 複数担任での職員間での連絡事項
  • 事務的連絡事項
三好

システムで情報共有できるようになって、職員間のコミュニケーションがかえって活発になりますよ。

アプリで保護者と連絡

今まで電話やお手紙で行っていた保護者への連絡のほとんどがシステムで行えるようになります。

欠席・遅刻・早退の連絡はもちろん、こちらからのちょっとしたお知らせや今まで紙でお渡ししていた月の予定表や献立表などもデータで送信できます。

保育士

これにより忙しい朝の時間の電話が劇的に減ります。

登降園時間の打刻

タッチパネルやバーコード、ICカードなどを利用して、保護者が登降園の時間を打刻することで、登降園時間の把握ができるようになります。

これにより今まで手計算で行っていた延長保育料も自動計算できます。

三好

保護者の書き間違いや計算間違いもなくなりますね。

繰り返し業務の自動化・簡略化

毎月実施している保護者への定期アンケートや、請求業務など「毎月同じ作業を繰り返している」という事務仕事も多いですよね。

そういう事務を自動化したり、システムに任せることで自動化したり簡略化することができます。

保育ICTシステムとエクセルの両方を使うことが多いので、少し難易度は高くなりますが、一度設定をするとそれ以降の業務の負担が劇的に軽減されます。

ICT化で保育はどう変わる?

ICT化することで保育にどのような変化が起きるのか、具体的にみていきましょう。

子どもと関わる時間が増える

ICT化に伴い、書類作成業務が大幅に削減できます。

そのため空いた時間を子どもたちと接する時間に当てられ、今まで以上に保育の質の確保・質の向上に繋げられます。

情報が素早く正確に伝わる

ICT化することにより、職員がそれぞれのパソコンやタブレットから情報を確認することができるので、伝言や回覧という情報共有のための業務がなくなります。

素早く正確な情報伝達は、安全な保育と保護者との信頼関係づくりにとても重要です。

さらに、伝達事項を覚えておいたり、声をかけたり伝えるタイミングを見計らうなどの神経を使わなくて良くなります。

余計な心配や気をつかわなくていいというのは、保育士の負担軽減の観点からとても重要な考え方です。

コミュニケーションの充実

情報共有をパソコンやシステムを使っているという話をすると、

「それはすこしさみしい」
「あたたかみがないのではないか」

という声をいただきますが、全くそのようなことはありません。

情報共有を正確に効率的に行うことで、本当に話し合ったり時間をかけて考えるべきことにじっくり時間と労力をかけることができます。

ICTで空白の時間が作り出されれば、職員の心に余裕が生まれます。

心に余裕ができれば、保護者や職員同士でのコミュニケーションが充実し、保育にとっても良い効果になります。

三好

気持ちにゆとりがないと保育の質も上がりませんよね。

業務量の削減と保育の見直し

ICT化によって業務量を削減すれば、保育の見直しを行う時間もできます。

保育のICT化をする時には、「この保育や業務はなんのためにしているか」という本来の目的やコンセプトを振り返りながらすすめることが重要です。

つまり、ICT化をすすすめることは業務量が削減されるだけではなく、「本当にやりたい保育は?」「なんのために保育をしているのか?」と繰り返し考えることになります。

改めて自分たちの保育の一番大事なところを振り返り、そのための保育や業務の方法を考えるきっかけになります。

三好

ICT化を何故するのかするのかという前に、どんな保育をしたいのか、どんな保育をするべきなのか職員間で共有しておくことが大切です。

ICT化の3つの注意点

メリットばかりのようにみえるICTですが、注意すべき点もあります。

残念ながらICT化に挑戦しても、うまくいかなかったというケースもあります。

失敗が取り返しのつかないものにならないたためにも、導入前に以下の注意点は認識しておきましょう。

時間と労力が必要

ICTシステムを取り扱っている会社はとても多いです。

この中から自分の園の保育に適したシステムを選ぶだけでも、以下のように多くのステップがあり、かなりの時間に加えて労力も必要です。

  1. それぞれのシステムを事前調査
  2. どのようなシステムを導入するのか要件定義を作成
  3. 要件にあっているシステムを複数選定
  4. 各システムを比較して1社に選定
  5. 必要な機器やネット環境の準備
  6. 機器の設定
  7. アカウント管理
  8. 職員への研修
  9. 保護者への周知

それ以外にも補助金申請や、プロジェクトチームの作成やその会議の議事録作成、導入スケジュール作成など多くの業務があります。

システムの導入までの道のりは一朝一夕にはいかないのが現実です。

失敗する可能性もある

保育のICT化をすすめていくにあたり、失敗しながらすすめていくことはとても重要です。

自転車の練習のように失敗しながらも挑戦しつづけることによってICT化を実現していくというイメージです。

しかし、取り返しのつかない大きな失敗だけは避けなければいけません。

三好

小さい失敗を何度も繰り返すことが大事。

そんな気持ちで取り組むのが成功の鍵です。

ツールとして利用する

システムを導入してからかえって業務が増えてしまった、そんな声も聞こえてきます。

ICT化に一生懸命取り組んでいいるうちに、「ICT化」そのものが目的になってしまい、「ICTを活用するためにどういう業務をするべきか」と手段と目的が入れ違ってしまうケースがあります。

ICTは目的ではなく手段です。

保育士の業務を軽減し、保育の質を確保するのが目的です。

三好

システムに振り回されず、あくまでもツールとして活用しましょう。

ICT活用でぬくもりを大切にした保育を伸ばせる

保育のICT化は保育士の業務を軽減するための一つのツールにすぎません。

しかし、導入の方法やシステム選定を間違ってしまうと、「やっぱり導入しなければよかった」「前より業務が増えてしまった」となってしまう可能性もあります。

正しい目的とコンセプトのもとICT化をすすめることで、ICT化で業務負担を減らし、保育の質の確保と向上ができれば、今まで以上にぬくもりを大切にした保育を実現できます。

ICTを活用してより良い保育を実現するためには、保育業務だけの知識だけではなく、ICT化というプロジェクトを動かしていく経験や、システムに対する専門的なノウハウも必要です。

私たち、保育ICT推進協会では、

  • 長年にわたる保育現場での業務経験
  • 自治体との交渉・申請経験
  • 多くのICTシステム導入実績
  • ICTシステムのノウハウ

を元に、ICT導入や活用のための支援を行っています。

保育業界の内部を知り、実際にICT化の業務に携わってきたからこそ、本当に必要なツールは何なのか?どうやってICT化を進めていったらいいのか?など、第三者目線で貴園に合ったICTの選び方・進め方などをアドバイスいたします。

ICT化にお困りの園はぜひお気軽にご相談ください。

また、定期的にICTセミナーYouTube配信も行っています。