こんにちは!保育ICT推進協会の三好(@Happy_Hoiku)です。
今、注目を集めている保育のICT化ですが、その中でもまず先に「登降園機能」を導入している園が増えています。
そもそも登降園管理機能って具体的にどんなものなの?
そんな保育者のために登降園システムについて解説します!
- 登降園管理とはいったいどんなツールなのか?
- ICTで登降園管理する具体的な方法
- 手書きに比べてICTを使うメリット
- 導入や活用で気をつけること
- 登降園管理機能の可能性
私たち保育ICT化推進協会は、ICT化の第一歩として、登降園管理機能を一番初めに導入する機能としておすすめしています。
登降園管理機能だけのシステムもあるほどICT化には重要な機能です。これから保育のICT化に取り組もうとしている園は、ぜひ参考にしてみてください!
本記事は、2022年5月14日に開催したオンラインセミナー「機能別に解説!保育システム活用研修 記録・計画」の内容を一部編集したものです。
↓セミナーの切り抜き動画はこちら↓
登降園管理機能とは?
登降園管理についてお伝えする前に、保育をICT化する目的をおさらいしておきましょう。
保育をICT化する目的
保育のICT化というとパソコンで書類を作成することに目がいきがちですが、それはあくまでも過程にすぎません。
ICT化の最終的な目的は、「働きやすい職場」を作り、「保育の質の向上」を目指しているということを忘れないようにしましょう!
登降園管理とは?
そもそも登降園管理機能とは、「子どもの状況のデータ管理」です。
具体的には、子どもの状況には下記のようなものがあります。
- 登園予定時間
- 降園予定時間
- 登園時間
- 降園時間
- 欠席とその理由
- 欠席連絡をした日時
- 送迎者
- 早退時間
- 遅刻時間
- バスに乗るかどうか など
登降園管理機能だけのシステムもありますが、保育業務全般を支援するシステムの中に登降園管理機能があるのが一般的です。
なぜ「登降園管理機能」が重要なのか?その背景についても詳しく説明しますね!
なぜ登降園管理が必要なのか
なぜ登降園管理が必要になったのか、その背景をみていきましょう。
- 子ども・子育て支援制度の開始により、標準時間保育と短時間保育の区分ができたから
- 子どもの人数やその時間管理の重要性が高まったから
- アレルギー対応にも登降園情報が重要だから
- 保護者と体調などの細かい連絡が重要だから
また、以前バスに子どもが置き去りにされてしまった事件で、保育学の専門家も登降園管理の重要性を強調しています。
登降園・出退勤の管理にICTを活用することで、
- 事務作業の軽減
- 保護者との情報共有の向上
などの効果が期待されています。
また、登降園・出退勤の管理にICTシステムを活用することで、
- 記録が正確になる
- 計算も自動的に行える
- 子どもの在園時間が可視化される
など保育業務の改善にも大きく役立つと言われています。
ICTで登降園管理ってどういうこと?
では、実際にICTを使った登降園管理とはどういうことなのか、説明していきます。
手書きとシステムでの登降園管理の違い
- 保護者や保育者が手書きで記入
- 給食数を口頭連絡(ホワイトボードに記入)
- 各種記録・出席簿等に記録
- 請求情報をエクセルに入力
- ホワイトボードや回覧で園内共有
では、登降園管理をシステムにした場合、どのような変化があるのか見ていきましょう。
- 保護者が登降園時に打刻するだけで、保護者・保育者はもちろん他の機能や書類とも情報が共有できる
打刻方法:登園時と降園時に保護者が打刻して登降園時間を管理
登降園管理機能は、基本的に子どもがいつ登園して、いつ降園したかを記録・管理する機能です。そのため、登降園時保護者がタイムカードのように「打刻操作」を行い、時間を記録します。
玄関など保護者が押し忘れないような場所にタブレットやノートパソコンを設置して、保護者が「画面タッチ・QRコード・ICカード」を使って打刻操作を行います。
打刻方法にもそれぞれに違ったメリット・デメリットがあります。
個人的にはQRコードが一番手軽でおすすめです。
登降園管理機能を使う5つのメリット
次に登降園管理機能を使うメリットを詳しくみていきましょう。
- 登降園の時間管理が楽になる
- 子どもの「今」の人数がリアルタイムで把握できる
- 延長保育料金にまつわるトラブルを回避できる
- 業務の大幅な負担軽減
- 業務の見える化の第一歩
メリット①登降園の時間管理が楽になる
ICTシステムを使って登降園打刻・管理を行うことで、保育者が紙に時間を手書きで記録したり、口頭で伝達する手間がなくなります。
これにより、手書きでは避けられない「記入漏れ」や「記入間違い」を防げるようになります。
メリット②子どもの「今」の人数が全員で共有できる
ICTシステムを導入する前は、各クラスの出席状況は事務所のホワイトボードに記入したり、ノートに記入したりして、園内で共有されることが多いのではないでしょうか。
しかし、記入された情報をリアルタイムで更新するのは難しく、「今現在」の子どもの数とは違う場合もありますよね。
手書きで正確な数を更新しようとすると、保育者の負担が増えてしまい、子どもへの対応や関わりがどうしても減ってしまいます。
ICTシステムを活用すれば、リアルタイムで正確な情報を職員全員が共有できます。
メリット③延長保育料にまつわるトラブルを回避できる
登降園時の打刻は基本的に保護者が操作します。
一般的には打刻用のタブレットに時間が表示されているので、その時保護者も確認できます。
そのため、延長料金によくある「時間オーバーしていた・していない」というトラブルを避けられます。
メリット④業務の大幅な負担軽減
ICT化する前は、登降園情報を請求業務や各種帳票の作成のために、さまざまな書類に転記する必要がありました。
ICT化することで登降園情報から自動で帳票が作成され、請求業務も自動計算になるので、転記は一切不要になります。
- 出席簿の自動作成
- 保育料・延長保育料の自動集計
- 園日誌の人数表記に反映される
今まで紙ベースで計算していたものが自動集計できるので、事務作業の大幅な効率化が可能になります!
メリット⑤業務の見える化の第一歩
手書きで行う登降園管理では、子どもの在園時間の全体像が不透明で、職員間の負担感の差による連携の難しさがありました。
ICT化によって、子どもの在園時間と保育士の業務内容の両方とも可視化できます。
園全体で時間管理を可視化することで、効率的で公平感のある業務分担やノンコンタクトタイムが実現できます。
登降園管理機能で保育がどう変わるか?
では、登降園管理機能を使うと実際に保育はどのように変わるのでしょうか?
具体的に解説していきます。
登降園時に子どもや保護者とゆったりと関われる
登降園管理機能のICT化で、以下のようなメリットがあります。
- 手作業での時間記入や、保育者同士の伝達業務が削減
- 保育に注力できる環境
- 子どもとゆったりと関われる
- 保護者とのコミュニケーションの充実
登降園管理機能の活用で、手作業での時間の記入や保育者同士の伝達業務が削減します。
登降園管理をICT化することで、登降園時間帯の保育者にゆとりがうまれ、保育に注力でき、子どもや保護者とゆったりと関われるようになります。
また、登降園時間帯の保育者は保護者からみて「なんだか忙しそう」「声をかけづらいな」と感じられているケースもあります。
保育者がゆったりと過ごしていれば、保護者も声をかけやすくなったり、安心感を持ってもらえるようになるでしょう。
他にも保育者の心身の負担が軽減するというのもメリットとして挙げられます。
保育者にとって登降園時間帯は、1日の中でも慌ただしい時間帯。
登降園管理機能の活用で、保育者が慌ただしく他のクラスや事務所に動いたり、伝達のためメモを書き留めたりする必要がなくなります。
保育者自身の負担の軽減は、より良い保育の実現にはとても重要です。
早出シフトで登降園の時間を過ぎるとどっと疲れを感じる経験があるのでは?ICT化すればかなりの業務負担の軽減が期待できます!
登降園管理システムの導入や活用で気をつけること
登降園管理システムの導入で一番気をつけたいのは、手書きとシステムの「二重づかい」です!
- ICTシステムで登降園情報入力と平行して、ホワイトボードや出席簿の手書きをやめられない
- ICTシステムを通して欠席連絡が送られてきて、各クラスで確認できるのに、同じ内容をノートに転記する
- ICTシステムで打刻しているのに、さらに保育士あるいは保護者が紙に登降園の時間を記入している
ICTシステムは、導入すれば自動的に保育者の負担が軽減されて、登降園情報が園内でスムーズに共有されるわけではありません。
システムの活用で今までの業務を減らすルールや仕組みづくりが重要であり、「どうシステムを使うか」より「どう今の業務を減らすか」が意外と難しい問題です。
二重づかいを避ける方法
二重づかいを避けるために下記の4つのポイントがあります。
- ICT活用の目的の再確認
- 導入前にやめる業務を明確にして共有する
- 登降園の情報が何に必要なのか明確にする
- システムだけで登降園管理できている園の存在を認識する
一つずつ説明していきます。
1.ICT活用の目的の再確認
そもそもなんのためにICTを導入したのか?
意外とそのことを忘れてしまう園も多いです。
「子どもと関わる時間とゆとりを作るためのICT化だよね!」という目的を共通認識しておきましょう。
2.導入前にやめる業務を明確にして共有する
ICT化する前にしっかりとやめる業務を決めて、全員に共有しておく必要があります。
例えば「ICT化したら出席簿はもう書かなくなります」などです。
決めて共有しておけば、二重づかいを防ぐことにも繋がります。
3.登降園の情報が何に必要なのか明確にする
打刻して得た登降園情報が一体何に必要なデータなのか、明確にしておく必要もあります。
そうでないと、「なんとなく今までやっていたから…」「書いておいた方が安心だから…」とズルズル手書きも続けていくことになりかねません!
4.システムだけで登降園管理できている園の存在を認識する
こんな考え方からは、一旦離れてみましょう。
実際にはシステムだけで登降園管理できている園も多数存在しています。
二重づかいをしてしまう心理
どうしてこのような「二重づがい」をしてしまう園が多いのでしょうか?
「ICTで確実に登降園を管理できない」という不安や現実から「二重づかい」が起きてしまうこともあります。
ICTで確実に登降園管理できる仕組みの作り方
ICTで「確実に登降園を管理できる仕組み」は、以下のような工夫次第で作ることができます!
- データの正確さを向上させる
- 入力されたデータ中心の業務方法へ移行
- 移行のための二重づかいは期間限定にする
- もしうまくいかなかったらすぐに戻せば良い
詳しく解説します!
1.データの正確さを向上させる(システムのデータは正しいという安心感)
データの正確さを向上させるには、
- 保護者の打刻率を上げる
- 保護者の打刻忘れ時の対応方法の確立と徹底
- 打刻完了確認の業務ルールの徹底
上記を意識するだけで、データの精度は確実に上がります。
データが正確であればあるだけ、システムの登降園管理に安心感を持てるでしょう。
2.入力されたデータ中心の業務方法へ移行(システムデータをメインに使う)
入力された登降園データを元に、他の業務もデータ中心に移行してみましょう。
例えば、
- 給食の数をシステムの登園児の数にする
- その日の職員配置をシステムでの人数を元に検討する
などといった内容から始めてみると良いですよ。
3.移行のための二重づかいは期間限定にする
二重づかいは基本的にNGですが、移行期間中はやむを得ません。ただし、必ずゴールを決めて期間限定で行いましょう!
例えば、
- 従来の登降園管理も併用するのは、登降園管理機能の本格導入から1〜2週間のみ
というようなルールです。
4.もしうまくいかなかったらすぐに戻せばいい
こんな風に「うまくいかなかったらどうしよう」、そう思ってなかなかシステムに移行できない園も多いです。
システムに移行したとしても、うまくいかなければ従来の管理方法に戻すのは実は簡単。
移行のための期間限定の二重づかいの後は、エイ!とやってみる、一歩踏み出す勇気も必要です!
システム導入時のポイント
システム導入を成功させるには、導入時に行う押さえておくべきポイントがあります。
- 保護者へ導入の目的をしっかりと伝える
- 導入前にルールを厳密につくらない
- 保育者同士で使い方を教え合う
一つずつみていきましょう!
1.保護者への導入の目的をしっかりと伝える
システムの導入は、保護者の協力が必要不可欠です。
保育者が楽をするためではなく、保護者と正確に情報を共有し、より良い保育を実現するためであるのをしっかりと伝える必要があります。
2.導入前にルールを厳密につくらない
最初にガチガチにルールをつくると、ICTシステムのメリットである情報共有の活性化に繋がりません。
「試験導入です」と保育者と保護者に伝えてオープンな状態から、少しずつ活用するためのルールを作りましょう。
3.保育者同士で使い方を教え合う
職員同士で活用方法を伝え合ったり、うまく活用している保育者に教えてもらうのもシステム導入をうまくいかせる秘訣です!!
さらなる登降園管理機能の可能性
ここは、記事に入れますか?
息抜き程度の内容なのでここは入れなくてOKです。ありがとうございます。
登降園管理機能導入についてよくある質問
「よし!登降園システムを導入しよう!」と思っても、実際の保育現場に導入する際にはさまざまな疑問が生じるでしょう。
ここでは導入の際のよくある質問についてお答えします。
パソコンは何台必要ですか?
一つの目安として園児100名までは1台、それ以上なら2台が必要でしょう。基本的に一人数秒で打刻は完了しますので、保護者の渋滞はそれほど起こりません!実際には保護者の動線や、送迎の実態に応じて目安を参考に調整できます。
打刻はタッチ・QRコード・ICカードのどれがおすすめですか?
どの方法もメリット・デメリットがありますが、おすすめなのはQRコードです!QRコードは管理の手間もなく、保護者も簡単に打刻できます。ICカードは管理や紛失時の対応が煩雑というデメリットが大きいです。
子どもが打刻操作しないか心配です…
確かに、子どもが操作してしまう事によるトラブルは起きやすいですね。
「打刻情報で延長料金等の計算をしているので、誤操作によりほかの方に間違った請求がいってしまう可能性があります」と伝えるなど、繰り返し保護者に説明して協力をお願いする必要があるかもしれません。
子どもが操作しにくい場所に設置するのも1つの手ですね。
保護者がちゃんと打刻してくれるか心配です…
多くの園のICT化に関わってきましたが、最後まで保護者の協力が得られなかったことは個人的にはありませんでした。登降園打刻は、子どもの安全とより良い保育実現のために必要なことを丁寧に説明することが大切です。
保護者が打刻を忘れたらどうしますか?
どのシステムも保育園側が保護者の打刻を修正できます。打刻忘れには園側で必要に応じて対応ができます。
登降園管理機能のデメリットはありますか?
登降園打刻は保護者が行うのですが、保育者は登園児が全員打刻しているかを確認する必要があります。保護者の打刻忘れが発生した場合の対応を園内で共有しておきましょう。
停電時やインターネット障害時はどうすればいいの?
停電時はノートパソコンやタブレットのバッテリーで駆動するので問題ないですが、インターネットに繋がらないトラブルが発生する可能性があります。その場合のために、念の為手書きで対応できる用紙を用意しておきましょう。※ルクミーには停電時にも使用できる機能もあります。
パソコンやタブレットの設置場所はどこがいい?
置く場所を検討する条件は
- インターネットに接続できる
- 電源を確保できる
- 保護者の送迎の動線に近い
- 雨や雪に当たらない
- 直射日光が当たらない
このような場所を選びましょう!
保育者がjパソコンにつきっきりなりませんか?
ICT化をする目的が「保育の質の向上」という共有認識が重要です。最初は目新しくて時間を取られるかもしれませんが、慣れてくれば大丈夫です!
まとめ:優良な登降園管理機能が備わっているICTシステムを選ぼう!
- 登降園管理の重要性が高まっている
- 厚労省もICT化による効率化を推奨
- ICTにおいて登降園管理は他の機能の入口的な存在
- 手書き(アナログ)と比べてもメリットが大きい
- 活用することで子どもと関わる時間とゆとりを作ることができる
- 導入にあたっては「二重づかい」に気をつけよう
- 二重づかいを避けるためには「データの確度を高める」「積極的な活用体制構築」「移行期間を限定する」「辞めてみる勇気」
登降園機能は、保育業務のICT化の最初の第一歩であり、これからの保育には登降園管理機能は必須のツールです。
登降園管理でICTを活用することによって、子どもと関わる時間とゆとりの実現すると共に、ICT化の効果の実感や、活用の成功体験としても重要な立ち位置となっています。
今後ICT化を進めていくにあたって、優良な登降園管理機能が備わっているシステムを選ぶことがICT化の成功のカギと言えるでしょう。
私たち保育ICT推進協会では、保育士経験と同時に導入リーダーとして多くの園をICT化してきました。
そのため多くのICTシステムや幅広いパソコンの知識を有しています。
園の実情に応じた最適なプランを提案し、保育現場の負担を最小限に抑えつつ、ICT化による「より良い保育」の実現を支援いたします。
ICT化を失敗させずにより良い保育に繋げたいなら、ぜひ一度お問合せください!
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また、定期的にICTセミナーやYouTube配信も行っています。
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